日本の子育て支援は大丈夫!? 本当の意味での”well-rounded”な教育を与えるために、親は何ができるのか?

最近の日本のニュースなどを見ていて、特に「ワーママ&子育て」のジャンルの記事を読んでいるときなど、違和感がありすぎて悲しくなってしまいます。

私は「子育て支援」= 「保育所や働くママのサポートが増えること」というのは、正直、ちょっと表面的なのではないかと感じています。

仕事も結婚も出産もした人が結局いちばん働くことになり、子どもとの時間は減り大変な思いをするのに、いったい、どこが「支援」なの!?

と感じてしまうのです。

第一、子どもにとってそれが最も良いことのように見えないからです。

本当に子育てを支援したいのなら

「父親がいくらでも子育てに協力できる職場環境」
「母親が子どもと過ごしたいだけ過ごせ、復帰したいときに復帰できる」
「自由な働き方を選択できる」

くらいのことが可能な世の中でなければ、少子化なんて改善しないでしょう。

でも、みんな、既存の枠の中で頑張らざるを得ないのですよね。

子どもが生まれるまでの間、一生懸命仕事をして来た時期があったから。
子どもはかわいいし、子どものためにも仕事をしなくてはと思うから。

それに、そもそも、踏ん張ればどんな過酷な状況でも、どうにかできちゃう力のあるひとばかりなのです。そういう「デキる」ひとだからこそ、仕事も結婚も子育てもできているという話もありますが…。

でも、どれも大事だからこそ、世の中の動きや雰囲気にただ流されるだけではなく、自分で考えてみることはとても大切です。

皆さん、自分に正直になって考えてみると、本当はどんな子育てがしたいですか?

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アメリカの都心で見た、本当の意味でのエリートが育つ環境、Well-roundedな教育

アメリカの大都市に住んでいると、いわゆる”well-rounded”な教育を受けて育った、いわゆる絵に描いた “スーパーエリート” 的な人に出会うことがあります。

頭脳明晰で、見た目も爽やか&好印象、仕事もでき、コミュ力が高くて、ユーモアもある。毎日の健康に気を使い、そして志高く、人生を楽しみながら日々成長し続けている人たちです。

「あ〜、こういう人って本当にいるんだなぁ〜」っていうのが、私の最初の感想でした。

よく日本で「意識高い系」みたいに揶揄されるようなのとはもはや別格です。

日本でエリートというと、ちょっと優秀な人を皮肉るときに使われたりもしますが、そういう意味ではありません。エリートという言葉の意味が、日本と海外とでは違うんですよね。

本当に、見ていてため息がでてしまうほど、優秀で人柄も良く、様々な経験やスキルを持ち、社会をより良い方向に導くことを考えている人たちがたくさんいるのです。

そして、仲良くなってみて、ますます「あぁ、こんな風に我が子が育ってくれたらいいな」と本気で思うようになりました。

羨んだり、妬んだりする気持ちが自分の中に芽生えないくらい、素敵な人たちです。

聞けばみんな自分の経験を話してくれますが(聞かないと教えてもらえない・笑)、その軽やかな口ぶりとは裏腹に、相当な努力が伺えます。

ものすごくグリッドもあるし、見習うところが多くて。

で、子育てに話を戻すと、

国際社会で認められ活躍するには、そういう人たちと対等に渡り合える、あるいは少なくとも、関わっていけることが求められる、ということなんですよね。

彼らに共通しているのは… 本人の資質や努力も相当にありますけれども、やはり幼い頃から受けてきた子育てが違うのではないかと思うのです。

まずは、彼らの親が、とても深い愛情と、子育てへの熱意、好奇心や探究心を持ち、子どもをしっかりと育てて社会に貢献させるという目標をしっかり持っていたということ。そしてあらゆる面でのサポートを惜しまないのです。

あらゆる面というのは、ただお金にものを言わせて何でも与えているという意味ではなく、きちんとしたしつけや、教養、自ら考え、選択し、やり抜き、振り返り、改善していく力をつけさせているという意味です。

そのことを的確に表現する言葉が”well – rounded”だと思うのです。

惜しまない、というの闇雲に与えるということではなく、必要なときを見極める力を持っており、適切な応援の仕方ができるということで、過干渉や過保護、というわけではありません。

例えば、ハード面で言うと

  • 2歳から始まるプリスクール選びのため、妊娠中から学校見学をしてウェイティングリストに名前を乗せ、最初から良い学校に入れる
  • 高額なプリスクールの費用(月額約17万~25万)を毎月払い、プラス習い事もたくさん
  • 幼稚園の頃からオシャレのセンスやソーシャルスキルを磨く、芸術系は何でもホンモノを見せる
  • 小学校に入ってからも、ありとあらゆる経験を子どもにさせていく(本人の興味のあることをとことんやらせる、プロフェッショナルに学ぶ機会を作る、世界中を旅する、など)
  • 習い事にはプライベートコーチもつけ、スキルアップのサポートを惜しまない
  • 中学高校は、私立に入れれば年間250〜300万の学費、そして大学はそれ以上にかかる

特に、医学部生やロースクール生の親は、このくらいのことは普通にしていますね。

あくまでも親側が「普通のこと」としてやってのけちゃうところが、本当に、スケール違いにすごいなぁと思います。

日本だと、よく芸能人が「教育費が毎月◯◯万円!」などと叩かれていますが、内容を見ると、アメリカの都市部の実情と比べたら、普通か、あるいは少ないくらいです。

特に、子どもだからと言って「子ども用」の中途半端なものを用意されたりしないで、最初から本物に触れさせるところが素晴らしいと思います。

彼らは子供の頃から深い知識を身につけたり、本格的な体験をするチャンスを与えたり、感性をどんどん磨いたりできる環境にあるのです。

最近の日本のメディアでは「子どもにとってどんな環境や投資をするのがベストか」ということよりも「兼業で子育てをいかに乗り切るか」といった”how to”ばかりが目に付きます。

ここで私が言いたいことは…

「子どもにとって最善の環境を創ること」がもう少し注目されても良いのではないでしょうか?

ということです。

「GDPが伸び悩んでいるから、専業主婦を減らして、どんどん女性を働かせよう!」

そんな雰囲気を感じませんか?

でも、次世代の日本を豊かにしていくのは、子どもたちですよね。

その子どもたちに良い環境や教育を与えられなければ、結局、今の状況は変わらないですし、少子高齢化で若い人たちの負担は増え、状況は悪化する一方でしょう。

ただ、眠っている人材としての母親たちを無理やり働かせるだけでは、日本は決して成長しません。

理想の子育てと、仕事の関係を今一度考える

なぜ私にとっては、子育てが優先順位No.1なのか

キャリアをどんどん積み、夫婦円満、家事と育児をソツなくこなすのが、今流行りのキラキラママ。

でも私はスーパーウーマンじゃありませんから、キラキラは諦めました。自分の心の中で、優先順位をしっかりと持ち、無駄なものはやめ、こざっぱりと暮らすことにしています。

それに、アメリカに住んでいると、ブランドもので着飾ったりするのは、パーティーなどの特別な機会か、ショップの店員さんとかビジュアルの良さが必要な職種の人たちなのだな〜と感じます。

みんな、お金の使いどころを心得ている気がします。持っている人ほど、持っているように見せないのが上手ですよね。

さてさて、私の優先順位はとてもクリアです。

国際的に通用するwell-roundedな教育を目指しつつ、自分自身は、子どもと向き合う時間や資力、将来にわたり仕事を継続できる状況を保ち、毎日笑顔で家族と過ごせる心身の健康やゆとりを持ちたい!

なかなか贅沢ですけど、たった一度の人生だから、自分に正直に生きたいじゃないですか。

それに、子どもとの時間がかけがえのないものであるということの意味は、子どもがもう少し大きくなってからでないとわからないのかもしれない、とも思っています。後になってからでは取り返しがつかないのではないか?と。

親が忙しすぎると子どもの出しているSOSを見逃しやすくなりますから、本当に気をつけなくてはと思います。自戒を込めて。

それから、じつは、自分のことで大変申し訳ないですが…

私の両親は自営業で、仕事ばかりをしていました。私は小さな頃から保育所に預けられ、親は「子育てよりも仕事が優先」という感じでしたので、今のワーママさんたちの置かれている状況そのものだったのではないかと思います。

でも、自分の小学校高学年までの間の時間の使い方や様々な経験を振り返ると、なんだか無駄に過ごしてしまっていたのではないかと思うことがとても多いのです。

なので、上に書いたような環境作りを主としたハード面の充実と並行して、ソフト面、つまり子どもの情緒やこころの豊かさ、健康さについても、できるだけ注力したいと思うのです。

「あの頃もう少し、世の中を広く深く見せてもらえていたら」
「好きなことをとことん突き詰めて、良き師に出会えていたら」
「自分のアイディアを形にすることの楽しさを教えてもらえていたら」
「尊敬できる友達が周りにたくさんいて、もっと切磋琢磨できていたら」
「哲学的な思考や、議論を深められる環境があったら」

大人になって自分の幼い頃を振り返ってみるとわかるのですが、子どもが求めるこころの充実度合いというのは、親にただお金をかけてもらうということだけでは決まらないんですよね。(前述のように環境を求めれば必然的にお金はかかりますが)

周りの大人の人とのより深みのある関わりや本当の意味での良い経験・体験というようなものを、あの年齢の子どもは自然と求めることがある、ということです。

「そんなものは人から与えてもらうものではない、自分で見いだすものだ」「縁がなかったということ」という意見もあるかもしれませんが、小学生のうちは、まだまだ親のサポートなくして自ら切り開くのは難しいことです。

逆に言うと、親が、一緒に考え、調べ、機会を与える、行動する、といったことを良質に繰り返すこと、そのの積み重ね方次第で、子どもたちの将来は如何様にも変わる可能性があるのではないでしょうか。

それを気持ち良く継続してあげられる心のゆとりを、私は必要としているのだと思います。

仕事をし、環境作りや資力の面でのサポートを惜しまず、かつ、子どもとの時間を大切に…!

自分で言っておきながら、なかなかハードルが高い目標です。

どんなことを取り入れ、目標にして行けば良いのか

日本の大学の名前を海外で言っても、残念ながらほとんどの人に、その価値をわかってもらうことができません。

大学の名前を言っても、愕然とするくらいに誰も知らないんですよ。

東京とか京都とか、地名は知られているんですけどね…。

教育において大切にされていることもずいぶん違うので、現地の大学とは比べようが無いというのが正直なところなのかもしれません。

日本で教育を受けて大人になった私が自分に足り無いと思うこと、これまで海外で見て来た “well – rounded” な教育を受けてきた人たちを見て子どもにしっかり用意してあげたいと思うことを挙げると、こんな感じです。

  • どれだけ小さな頃から親とたくさんの話題について会話をしてきたか、議論してきたか
  • 大人と対等に会話をするチャンスをもらえていたか、雑談力など
  • 世界には多様な人・文化・価値観があるのだということが “当たり前” になっているかどうか
  • 第二言語を自由に操れる自信
  • コンペティティブな社会で、タフに生きられるための心の基盤や知恵
  • 人が応援したくなるような、人を惹きつける何かを持っているかどうか

ほとんどのことは赤ちゃんの頃からの積み重ねなので、大人になってから気付いても英語と同様に後で身につけることが難しいことばかりです。だから英語だけを身につけさせるのでは不十分だと思っています。

そして、人生のコンペティションのいちばん大変なところで、そういったことが大きな差になってしまうんですよね。そこまで子どもがたどり着くかどうかは別問題ですが…。ですが、国際社会の競争は、シビアです。

自分のキャリアや時間ももちろん大切ですが、預けてばかりだったり、任せっきりの育児では、どうしてもディテールに目が届かなくなりがちです。

お子さんの小さな変化を見逃さないこと、日々のアクティビティへの細やかな配慮、丁度よいタイミングでの励ましや諭し、一緒に考え、気がすむまで話し合うこと などなど。

いずれも、外注はできない、とても大切なことですよね。

しかも親子の絆がある上で、初めて効果的にできることばかり。

そういうところが抜け落ちてしまうと、お子さんが本気の勝負をしたいときに勝てなくなってしまうかもしれないということを、常に頭の片隅に置いておく必要があると思います。

理解した上で、敢えて、兼業ママを選ぶということ

なかなか楽なことばかりではありませんが、子どものことをいちばんに考えながらも、私は兼業を選んでいます。

女性がプロフェッショナルの仕事をして、稼ぎ、自分の幸せな暮らしを自分で手に入れられる姿を、娘にとって “当たり前のこと” として見せたいからです。

そして、しっかりと収入を得て、子どもにその時できる最善の環境を用意してたいと思っています。それから、老後に迷惑をかけないための準備も。

毎日の時間をどう使うのか、自分の気持ちと子ども本人の状況を良く見つめて、親として子どものためにしてあげられることをこれからも模索して行きたいものです。


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ABOUTこの記事をかいた人

アメリカで娘を出産し、バイリンガル育児をしている精神科医ママの日記です。メンタルヘルスの専門家としての視点や、研究論文などから得たヒントをもとに上手な声かけや楽しく学ぶ習慣作りをし、親子ともに楽しくストレスの少ない子育てを心がけています。英語の絵本やおすすめ教材、健康管理や家事の時短のコツなど、日々の試みから役に立ったことなどを発信中です。