間違った「タイムアウト」は百害あって一利なし。失敗例に学ぶNGポイントと最新のしつけ法「タイムイン」のススメ

私たちの周りにも「タイムアウト」をやっている家庭がたくさんあります。

普段のプレイデートの会話でも「昨日タイムアウトをしたらね…」「うちは最近タイムアウトばかりだよ…」といった話題が出ますし、ここではかなり一般化した方法のようです。

日本でも最近、様々なところでこの「タイムアウト」が紹介されていますね。

でも、やみくもに「タイムアウト」を使ってしまうまえに、知っておいていただきたいことがあります!!

「タイムアウト」はきちんとしたルールを守って行わなければ害になる

先日こちらの記事に書いたように、私は「タイムアウト」ではなく、「タイムイン」という方法をお勧めしています。

「タイムアウト」よりも効果的な「タイムイン」は親も子も一緒に成長でき、EQを高められるメソッド

2016.11.24

理由は上の記事の中に書いてありますが、親が「タイムアウト」と言い放ち、ただ部屋の隅に立たせているだけですと、子どもにとっては「タイムアウト=罰」となってしまいます。

子どもは、次に同じような状況になった場合にどのような言動をしたら良いのかを学ぶことなく、家族や友達から引き離され、「拒絶された」と捉えてしまうでしょう。

そのように間違った方法、誤ったタイミングで使用することによってタイムアウトは「罰」というふうになってしまう可能性があり、そうなると、望ましい言動を教える効果が無くなってしまいます。

そして先日、その懸念が、残念なことに現実になってしまうのを目の当たりにしてしまいました😥

ここでは、私の身近で起きた失敗例から学んだことをまとめておきます。

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「タイムアウト」が失敗し、害になってしまった例

しつけることと、親の言う通りにさせることは、まったく違う

我が子のプリスクールのお友達の中に、何人か普段からファミリーで親しくしている子がいます。娘にとっては、初めてのプリスクール生活に慣れ無い頃もお互い助け合ってやってきた大切なお友達です。

3歳を過ぎた頃からか、クラスの中で数人、友達を叩く子が出てきました。いわゆる “やんちゃ坊主” 的な感じの男の子たちです。

自分の思いを主張したい、お友達に分かってもらいたい!でも上手く説明できない…、そんなときについ手が出てしまうのは、まぁ、ありがちなことです。

娘の学校は教育熱心な親御さんが多く、お子さんを良く見て話も聞いているので状況はすぐに親たちの知るところとなりました。

それからしばらくの間、自分の子に対し「叩くことは良くないことだ」ときちんとしつけることを、それぞれの家庭で気をつけていた(と思われる)時期がありました。

そして、クラスの中の叩いた、叩かれたの問題がひと段落したと思いきや…

そうです、おなじ「しつけている」つもりでも、家庭での良い対応、良くない対応の結果が、後々になってわかってきたのです。

「タイムアウト」のNG例

ある日のプレイデートで、お友達の中の一人がやたらとタイムアウトさせられていることに気づきました。しかも、かなりの回数、親の都合でなされていることに…。

「◯◯、⬜︎⬜︎⬜︎しなさい。できないならタイムアウトよ!」

一緒にいるほんの2時間ほどの間に、7~8回くらい聞いたでしょうか。

しかもその内容は、叩いたとか、暴言を吐いたとか、明らかに悪いことに対するものではなく、私への挨拶を忘れたことであったり、時間通りに帰るのを渋ったことだったのです。

友達の親に対してきちんと挨拶をしないとか、時間通りに帰りたくないと駄々をこねるくらいのことって、3歳だったらまだまだ普通のことじゃないでしょうか?

私には「親の言うことを聞かせるために、タイムアウトで脅している」ような感じに見えました。

その子は普段から会えばしっかりと目を合わせて挨拶もしてくれますし、どちらかというと「良い子」のイメージがありましたが、今思い返せば、タイムアウトが嫌だから、親が怖いから、という理由で、親の前でやるべきことを一生懸命やっていただけだったのです。

子どもが親に隠れて悪いことをする、嘘をつく、助けてと言えなくなる

それからしばらくして、その子が、学校でお友達をますます叩くようになりました。さらに、ものすごく酷い物言いをするようにもなってしまいました…。

しかも、先生に隠れてバレないように。

そして、誰から見ても明らかなことでさえ、「やっていない」と言うようになってしまったのです。

娘を含め、一緒に遊んでいた子たちはどんどん離れて行きました。

我が子はどちらかというと叩かれる側で、最初はやられっぱなしな感じだったようですが、自分で解決させようとしばらく見守ることにしていました。

そのうち、本人から「やり返すのは違うと思うからやり返さないでいる。でもやられてばかりいる。どうしたらよいか?」と相談されたので、「やめて!」と言うこと、叩いた理由を相手に聞くこと、を提案しました。

そのうちに、「やめて!」とハッキリ伝えても叩くその子とは、違う遊びをして少し距離を取る、本当に困った時はすぐに先生に相談する、などの対策を本人も思いついたようでした。

きっと、叩いてしまっていた本人も辛かったことでしょう。でも、親に知られると怒られたりタイムアウトになるのが怖いので、助けて欲しいということすら言えなくなってしまっていたのです。

子どもが親に隠れて悪いことをする、嘘をつく、助けてと言えなくなる

これって、親子関係としては、とても残念な結果ではないでしょうか?

「タイムアウト」が失敗している原因を分析

1. 親の気分で、基準がブレてしまっている

挨拶をしないのはダメ、時間通りに公園から帰らないのはダメ…。

日によって、怒ったり怒らなかったり、テキトーに基準を決めてしまっていませんか?
「タイムアウト」をする必要がある内容でしょうか?

もう一度、夫婦でよく話し合って、基準を設けておくと良いでしょう。

2. 予告なく、いきなりタイムアウトさせている

「タイムアウト」と突然言い放たれるのは、子どもにしてみればいわば『青天の霹靂』です。

「それはやっていいことなのかな?」「これで注意するのは2回目だよ」「あと1回同じことを言われたらあっちに行って考えようね」といった、前置きや予告、警告が必要です。

警告されたことで本人が気づき、行動を修正できるようになれば、親も必要以上にタイムアウトをすることがなくなります。

3. タイムアウト後のフォローがない

タイムアウトをすると、子どもはとても孤独を感じます。特に、上記のような感じで、突き放されてしまうと、それだけで思考停止に陥っていることもあります。

タイムアウトが終わったら抱きしめて、なぜタイムアウトになったのか本人が理解しているかどうかを話し合うことを忘れないようにしましょう。

もしくは、タイムアウトではなく、タイムインをしましょう。

4. 子どもを、常に監視・チェックされているような気分にさせてしまっている

これは、上で紹介した例のように、親が子どもに言うことをきかせるためにタイムアウトを乱用してしまっている場合に起こります。

子どもが「親の意にそぐわないことをしてしまうとタイムアウトになる」と思っているという時点で、それは、いつも親に自分の言動を監視されていると考えているのと同じです。

5. 子どもを孤独にし、親に対する安心感や信頼感を失わせてしまっている

幼児期は、自律性や積極性が身につく時期だとエリクソンはライフサイクル理論で述べています。

しつけが始まり、本人の気持ちと違うことを大人から求められる機会が増えますし、共働き生活の家庭では保育園に通い始めたりすることもあり、一緒に過ごす時間も短くなりがちなので、本人の不安は以前よりも大きくなっています。

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ただでさえ、以前より不安が強い状況である上に、この時期にはもうすでに「失敗=恥ずかしいこと、叱られるのではないか、失望されないか」という考えを子どもは持っています。

そのため、頭ごなしに叱ったり、ことごとくタイムアウトにされてしまっていたら、子どもは親に自分の良いところしか見せられなくなります。

悪いことや失敗をしてしまったら許してもらえない、助けを求めてはいけない、と思い、どんどん自分の殻に閉じこもってしまうようになります。

まとめ

親は子どもにとっていちばん安心できる存在でありたいものです。

失敗しても悪いことをしても、自分の子は自分の子、愛していることに変わりはありませんよね。

それに、最終的に味方をしてあげられるのは親しかいません。

タイムアウトを使うべきタイミングを見誤らず、普段は「困ったことがあったら相談してね」という姿勢でいることが大切です。

「タイムアウト」を上手に行う自信のない方は、ぜひ「タイムイン」を行ってみてくださいね。

「タイムアウト」よりも効果的な「タイムイン」は親も子も一緒に成長でき、EQを高められるメソッド

2016.11.24

 

 

ABOUTこの記事をかいた人

アメリカで娘を出産し、バイリンガル育児をしている精神科医ママの日記です。メンタルヘルスの専門家としての視点や、研究論文などから得たヒントをもとに上手な声かけや楽しく学ぶ習慣作りをし、親子ともに楽しくストレスの少ない子育てを心がけています。英語の絵本やおすすめ教材、健康管理や家事の時短のコツなど、日々の試みから役に立ったことなどを発信中です。