あなたは、お子さんのしつけをどのように行っていますか?
昨今、アメリカでのしつけには新しい流れが生まれていると言われています。
今日は、親も子も報われ成長できる「タイムイン」というメソッドや、その他日頃から取り組める心がけなどをご紹介します。
アメリカでとてもメジャーな「タイムアウト」というしつけ方法
これは、子どもが問題を起こしたときに、一定時間、子どもを部屋の隅などに立たせたり座らせるなどして、1人で反省させるというものです。
親はその間、子どもが何を言っても注意を向けてはいけないとされています。
学校だけではなく、家庭で用いられることも多いです。何人かでプレイデートをしていても「タイムアウト!」と隅に立たされている子がいたりします。
タイムアウトへの疑念
我が家でも少し試してみたことがありますが、案の定、私の心がザワついてしまいました💦
子どもの言い分をもう少し聞き、一緒に考えたかったので、「子どもの注意を向けてはいけない」というところに大きな疑問を感じたのです。
私が考えるに、タイムアウトを効果的に使うためには、親が冷静に、なぜタイムアウトをするのかを説明することができる必要があります。ただ「そこに立ってなさい!」と言い放つだけでは、子どもはただ悲しくなるばかりで思考停止に陥ってしまうからです。
子どもがじっとその場にいる間に考え、どの言動が良くなかったのか、どうしたらよいのかを理解したり納得しているようであれば、そのあとは、親が抱きしめてフォローすることが大切です。
そうでなければ、子どもはタイムアウトというものを「罰」だと捉えてしまい、「罰を受けるのが嫌だから」という理屈で行動をするようになってしまいます。
我が家では当時、「time-out」という言葉が嫌だったので「thinking time」という表現をしていました。
Sponsored Linkタイムアウト=罰では、望ましい言動を教える効果が無い
ここまでは頭で考えるのはラクなのですが、実際に親子ともにヒートアップしている状況で互いに落ち着いてこれを実行するのは、なかなか難しく、子どもも、親に相手にされない時間が辛いから、または罰を受けたと思い悲しいから、そして、早くもともとやっていたことをしたいから「分かった」と言ってしまうことがあります。
心理学的にも「罰」というのは、即効性はありますが問題を根本的に改善していくことにはならないとされています。また、罰を注目と混同してしまったりすることや、『望ましい言動を教える効果が無い』ということも知っておく必要があります。
特に、相手がまだ小さくて精神発達が未熟な幼児や児童の場合には、罰(注意・ペナルティ)を与えることが『自分への注目・関心』として受け取られてしまうことも多く、それでは不適応行動の頻度を減らすことはできなくなってしまいます。よく、お母さんの気を引きたくていたずらをする子がいますよね。
注意されたり叱責されてもその非行行動をやめない非行少年などにも、同じことが言え、『罰を自分への注目・関心として受取る(罰という負の強化でもいいので注目されたいという愛情飢餓感)』という認知の歪みが見られることがあるそうです。
生物人類学者のGwen Dewar氏の記事からタイムアウトの欠点を考える
1.タイムアウトの時間はどう決めるのか
「年齢 × 1分」という考え方が慣習的に言われています。2歳なら2分、3歳なら3分。でも、これらには科学的な裏付けはありません。
2.子どもが話を聞けない状態だったら?悲嘆したり、癇癪を起こしたら?
それはお子さんがタイムアウトを「罰」と捉えている可能性があります。
「罰」を用いた子育てのスタイルが子どもにどのような影響を与えるかについては、多くの研究結果があります。罰を与えられたと感じることで子どもがより葛藤や反抗心を感じるのであれば、子供の問題行動は悪化していくそうです。
3.タイムアウトにより、子供はどんなメッセージを受け取るのか?
上記のように、子どもがじっとその場にいる間に考え、どの言動が良くなかったのか、どうしたらよいのかを理解したり納得している、ということと、そのあとは、親が抱きしめてフォローすることができるのであれば、「タイムアウト=罰」とはならないでしょう。
ですが、親が「タイムアウト」と言い放ちただ部屋の隅に立たせているだけでは、「タイムアウト=罰」となってしまいます。子どもは次に同じような状況になった場合にどのような言動をしたら良いのかを学ぶことなく、家族や友達から引き離され、「拒絶された」と捉えてしまうでしょう。
「タイムアウト」や罰ではなく、子どもを導く「タイムイン」という考え方
昨今、プリスクールなどで用いられている方法は「タイムアウト」ではなく「タイムイン」と呼ばれています。子どもを一人だけ移動させ部屋の隅に立たせるのではなく、子どもと一緒に座り、話し、悲しみを慰めながら愛情や理解を深めます。
子どもが問題のある言動をしたとき、部屋の隅に一緒に行き、膝の上に乗せて座り、子どもの感情を受け止めた上で、落ち着いてからなぜそれが良くないことなのか、どうしたらよいか、二人で話し合う、というわけです。
感情というのは空を流れる雲のようなもので、いずれ過ぎ去っていくのだということを体感させ、子どもが感情の波を自分で乗り越えることをサポートするんですね。
「タイムアウト」の代わりの「タイムイン」、その利点とは?
この方法であれば、私が最初に感じた子どもが「一人で孤独を味わい、思考停止に陥るのでは?」という疑念も解決されますし、立ち止まって自身の行為を省みるというのがどういうことなのか、いちばん信頼している親御さんと落ち着いて話し合うことは、とても素晴らしいことです。
タイムインには次のような利点があるとされています。
- 子どもの感情や言い分を聞くことができる
- そのため子どもも受け入れられていると時間でき安心する
- 感情の波が落ち着いてから話し合うことで、子どもも素直に話を聞いてくれる
- 子どもが複雑な感情を処理し落ち着くための時間を作ることができる
- 子どもを一方的に突き放すことがなくなり、孤独感、恐怖感、屈辱を感じさせずに済む
- 問題となった言動だけでなく、一歩踏み込んで話し合う機会を与えてくれる
UCLAの精神科のDaniel J. Siegel 医師が書いた、このような本があります。
ここでも「不適切な方法で行われたタイムアウトは親子の絆を損なってしまい、効果的ではない」ということが述べられています。
そして、子どもをしつける時期というのは、親にとってもっともチャレンジングな時期であると同時に、子どもの成長を支え、脳の発達を促すことでもあるということや、Siegel医師ら専門家は、その大変な時期をもっとも報いの大きな時期に変えることが目標としているということを綴っています。
感情をコントロールする能力、EQを伸ばそう
EQ「心の知能指数(EQ)”Emotional Intelligence Quotient”」と呼ばれ、幸せな人生を送るためにIQよりも重要だとされていることはご存知ですか?
米国イェール大学のピーター・サロベイ博士とニューハンプシャー大学のジョン・メイヤー博士によって、初めて論文で発表された理論です。
「人の態度や物言いなどのあらゆる言動は、その時々における自分自身の感情の状態に大きく左右されている。したがって、このことを意識してうまく利用することができるのは一つの能力であり、この能力は誰もが備わっているもの。だから、適切な訓練によって、その発揮能力を高めることができる。」という概念です。
「自分の今の感情の状態を認識し、それをコントロールすること」ができるようになれば、自分にとって適切な行動をとることができるし、前向きな感情を生み、前向きな行動をつくりだすことができます。
また、「相手の感情状態を認識することができて、相手に対して配慮できる言動がとれれば、対人コミュニケーションはとてもうまくいく」・・・ということなのです。
「タイムイン」で、落ち着いて親子で話し合うことや、感情の波を乗り越えるといったトレーニングを積んでいくことは、間違いなく、EQを伸ばすことにつながるでしょう。
しつけとペアで行っていきたい、日々の心がけ
日常的に、親が好ましい行為に注意関心を向ける
ついつい問題を起こしたときには子どもに大きな注意や関心を向けてしまいがちですが、昨今ますます強調されているのは、普段から良い行動を褒め、関心を見せ、声をかけるという方法です。
「ごあいさつが上手にできたね」「おもちゃを貸してあげられたね」など、日頃から、良い行動を褒めることで、子どもがちゃんと見守られていることを自覚することができます。
また、家のお手伝いをしたり、外出したりするときに、親が「あなたといると楽しい」ということを繰り返し伝えていると、注意を引くためのいたずらなどは随分減るそうです。
良いことをしているとき、良い状態のときにも話し合う
子どもが困ったり泣いたりしているときに冷静に物事を考えるのは難しいことです。
お友達間での問題行動などは、その場でも対処しますが、普段から「こういう時相手はどう思うかな」「こういうことしたらあの子はどういう気持ちだろう」といった内容を話し合うとよいでしょう。
我が家ではイヤイヤ期の時期など、この役割を、こどもちゃれんじが担ってくれていました。
事前にサラッとひとこと声をかける
プレイデートや習い事など、子どもが集まる場に向かう車の中や教室に入る前に、マナーやお友達との関わりについて家で子どもと話し合ったことを少しだけリマインドしてあげましょう。
単純に忘れていたというような場合は、思い出すことができますし、上手にできたら「次は言われなくてもやってみよう」という気持ちが生まれます。
難しい感情に向き合う、エモーションコントロール法を教える
「だめ!」「~しない!」という言葉よりも「~がいいね」「~したらどうかな?」という声かけが効果的です。
そして、イライラしたり悲しくなったときは、深呼吸をしたり、目を閉じてメディテーションをすることを教えましょう。
前述のように、感情というのは空を流れる雲のようなもので、時とともに過ぎ去っていくのだということを体感させてあげることで、子どもでも、感情の波を自分で乗り越えられるようになります。
我が子はプリスクールで瞑想(メディテーション)を習ったそうです。アメリカでは、そういった感情のコントロール方法もスキルとして子どもに教え始めているのです!
子ども以前に、親がやったほうが良さそうだな〜と思うこともありますよね(笑)
瞑想では仏教で使われる比喩を聞くことがあります。それは心を蓮の花にたとえたものです。
『根は泥の中にあるが、泥の上で自由に立ち、美しく咲くことができる』
なかなか、その境地に達するのは難しそうですが、でも、確実に、メディテーションは効果があります。
私も、心に余裕を持って子どもと接することができるように、マインドフルネスを実践しています。
思春期の反抗期に向けて親力を鍛えるべく、準備をしていかなくては! 😉
ママもたまには自分の時間を作って、ヨガなどするのもいいですね。
本当に気分転換は大切ですよ!