今年は12/24がハヌカの日で、クリスマスイヴと重なっていました。
ハヌカとはユダヤ教のお祭りの一つで、彼らはクリスマスではなくハヌカのお祝いをします。
ユダヤ教は月の満ち欠けに基づくルナ・カレンダーを使うので、ハヌカの日にちは毎年異なりますが、たいてい12月のどこかになります。
アメリカの都心部にはユダヤ教徒の方々がたくさん住んでいるので、ハヌカもとても良く知られていて、ニューヨークの公立の小学校などではクリスマスとハヌカの両方を祝ったり、それぞれのイベントにまつわることを皆で学ぶそうです。
Sponsored Linkハヌカ:Hanukkah (Chanukkah, Hanukahとスペルアウトすることもある)
ユダヤ教の年中行事の一つで、マカバイ戦争(紀元前168年 – 紀元前141年)のときのエルサレム神殿の奪回を記念する。アンティオコス4世エピファネスと異教徒によって汚された神殿の清めの祭りである。キスレーウ(ユダヤ暦の第9月)の25日から8日間祝うこととなっており、西暦では毎年違う日になる。ハヌカーはキリスト教のクリスマスとだいたい同じ時期に祝われるが、この二つの祭日は起源も性格も異なる。
from Wikipedia
Hannukah(ハヌカ)のストーリー
希望を灯す光のお祭り
マカバイ戦争でイスラエル地方を占領した征服者達は、ユダヤ人が礼拝することを禁じエルサレム神殿も使わせませんでした。しかし、あるとき、マカビー家の男達が登場し、当時世界でいちばん強かった軍隊を倒し、自由を勝ち取ります。
昔のエルサレムの神殿では、いっときも絶やさずに炎が灯されていましたが、侵略されてからは、聖なる場所で豚が捧げられたり(聖書では豚は穢れた動物)灯も消されてしまいました。
ユダヤ人たちが神殿を奪回したとき、神殿用の油は1日分しか残っておらず、信仰の厚い者達はその油で火を灯しました。
改めて神に捧げられた神殿で、その油は8日間、新しい油が到着するまで燃え続けるという奇跡を遂げたのです。
このことから、ハヌカの祭りでは8日間、夜にロウソクに火を灯すことが習わしとなっています。
そして、油で揚げた料理である、ジャガイモのパンケーキとドーナツを食べます。あとはブリスケットという牛の煮込みなど。じゃがいものパンケーキにはアップルソースをかけます。
アメリカでは19世紀の活動家達が自分たちの歴史にプライドを持とうという運動を始めたときにハヌカを祝うようになり、そして20世紀になると、この時期にクリスマスなどのホリデーのため盛大なお祝いをするアメリカ文化にも、徐々に受け入れられるようになりました。
ハヌカは、人々が硬く結束することで強い敵に勝ち、ユダヤ人の独立を守り、この世からユダヤ教が消え去ることを防ぐことができたということを教えてくれます。(もし、このときにユダヤ教が消えていたら、その約500年後に生まれるキリスト教も存在しないことになってしまう…!)
そういう意味があるからこそ、キリスト教徒の多いアメリカでもハヌカは広く受け入れられています。
キリストの誕生を祝うクリスマスとは、まったく異なる背景のお祭りではありますが、時期も近く、ユダヤ系の子どもたちも心待ちにしているようです。
自分たちの権利のために、権力者に対して勇気を持って立ち上がることの大切さ・素晴らしさ、というのはアメリカの建国のストーリーにも共鳴する部分が多々あるのでしょうね。
戦争を讃えるのは適切ではないという考えで、ハヌカのお祝いは、戦いの勝利よりも光の奇跡の方に重点を置いたといわれています。お祝いの場でも、希望や刷新、闇から遠ざかるというニュアンスのことばをたくさん聞きました。
ハヌカのお祭りではどんなことをするのか?
⬆️この青い箱の絵が、メノーラというハヌカのキャンドル台です。実物はもっと大きくて、大人と同じくらいの高さのものが飾られていることもあります。
このロウソクを日没後に1日1本ずつ灯していきます。
ハヌカの子ども達の遊び: Dreidel(ドレイドル)
ドレイドル(Dreidel)は、上の写真のこまのようなものです。
四面に反時計回りに נ(ヌン)、ג(ギーメル)、ה(ヘー)、ש(シン)の文字が描かれています。
チップまたはコイン形のチョコレートなどを用意し、コマをまわしてシンが出たらチップをポットに置きます。
ギーメルが出たらポットのすべてのチップをもらう、ヘーが出たらポットのチップを半分取る、ヌンが出たら何もしない、というルールです。
とってもシンプルなので3歳児でも十分遊べます!
ハヌカソング
クリスマスソングならぬ、ハヌカソングというものがあります!
- Oh, Chanukkah
- Sevivon
- Dreidel Song
- Ma‘oz tzur
中東の音楽は初めて生で聞きましたが、独特の音階とリズムで、子どもたちはノリノリでした😊
プレゼント
最近はクリスマスの代わりにハヌカを祝う子どもたちのために、8日間毎日小さなプレゼントを渡す家庭も増えているそうです。
その他、アイスシェービングの催しや、ドレイドルにペイントをする、ロウソクを作るなどのアート系のアクティビティーも用意されており、とても楽しく過ごすことが出来ました。
異文化のお祭りを体験して
今回は、お友達ファミリーのお誘いでハヌカのお祝いに混ぜていただきました。
子どもたちも、一緒に歌ったり踊ったり、食事をしたり、その背景について学んでから出かけたためか、感じるものがたくさんあったようです。
ハヌカはアメリカではとっても良く知られているお祭りなので、まだまだほんのごく一部ではありますが、世界には多様な文化や宗教、その背景にあるストーリーがあるということを伝える良い機会になりました。
自分の知っていることや文化、言語、習慣など以外のものにも目を向け、相手のことを知り、受容し、そしてお互いの立ち位置を見出し共存していくという、国際社会では当たり前となっていることを、少しずつ少しずつ、教えていけたらと思っています。
大人である私個人は、やはり戦いが絡んでいるお祭りということで、どうしても、勝者以外の人々のことも頭に思い浮かべずにはいられませんが…。
一つの立場のみから見て単なるお祝い事として楽しむだけではなく、宗教の転換を強要され、多くの人々が命を失ったり苦しんだであろう背景に想いを馳せることも大切だと考えます。
子育てを通じて様々なことを考えるチャンスを与えてもらえていることに感謝しています。