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子どもの左利きは修正する必要があるのか?脳の解剖の豆知識とストレスなく右手を使えるようになる方法+道具

娘がまだ1歳くらいだった頃、良くスプーンを左手で持とうとすることがありました。2歳になって運筆の練習をしていた頃も、よく、両手で鉛筆を使っていました。

左利きは文字を書くとき、特に英語で筆記体を書くときなどはとても書き難いですよね。

でも、利き手を直さないほうが良い、という意見も良く耳にします。

左利きかな⁉︎と親が気づいたとき、どのように対応するのが良いのでしょうか?

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左利きについて・脳の解剖について

左利きの人の割合

1977年の研究では人口の8〜15%が左利きであることが報告されています。
引用:Hardyck, C., & Petrinovich, L. F. (1977). “Left-handedness,” Psychological Bulletin, 84, 385–404.

利き手が決まるのは生まれてから

利き手は人間では生まれた時は決まっておらず、生まれてからどちらの手をどのように使用していくか、その使用頻度に応じて神経回路が形成されていき、頻度が高いほうがすなわち神経回路の発達したほうの手となるそうです。

約6ヶ月くらいの頃には、どちらの手が使いやすそうかが、客観的に見てもわかるようになります。

ちょうど、離乳食などでスプーンを使い始める時期なので、食事の様子がもっともわかりやすいかもしれません。

その後は年齢とともに、徐々に利き手が固定されていきます。

よく、”ミラー現象”と表されるのですが、親子で向かい合って座っていると、親が右利きの場合に、子どもが同じ方向の手を使おうとして左手をよく使うようになり、利き手を習慣化させてしまうという話もあります。

親子でなくても、双子で幼少期に向かい合っている事が多いと、相手の鏡映しにマネをして覚えるので、対面が右利きなら左利きになりやすくなるのだとか。

脳の解剖・優位半球について

Taken from NIH publication 97-4257, http://www.nidcd.nih.gov/health/voice/pages/aphasia.aspx

よく「右脳は感覚、左脳は言語」といった話を聞きますが、右脳・左脳ということばは俗語に近く、学術用語として使われることはありません。

右脳・左脳論:左半球は言語や論理的思考の中枢、右半球が映像・音声的イメージや芸術的創造性の中枢、という考え方や、理屈っぽい人物は左脳優位、芸術肌の人物は右脳優位といった説のほとんどは、科学的な根拠に乏しいストーリーなので、笑い話にする程度には良いのですが信じ込むのはナンセンスです。

大脳は右半球と左半球で機能が大きく違います。一般的に言語中枢がある方を優位半球、無い方を劣位半球といいますが、機能が分かれているだけで、左右のどちらが優れているとか、劣っているという話ではありません。役割を分けているだけです。

通常、右利きの人は99%左側が優位半球です。左利きの人は約半数で左側が優位半球、半数で右側が優位半球です。右利きの人が多いため優位半球は左側である可能性が非常に高いということです。

ここで知っておきたいのは、優位半球は生まれたときから決まっている、ということ。

つまり、利き手を矯正しても、優位半球は変わらないのです。

ですから、お子さんの利き手を矯正するときには、本来、機能的に優れている手を使わないことになるのだということを念頭に置いておく必要があります。

例えば、もともと左利きだった人は、とっさのときに出てくるのは、左手ということなのです。

そのあたりが、利き手の矯正をしないほうが良いという説の根拠となっているのでしょう。

左利きが不便なとき

やはり、これは英語の文字を書くときなのではないでしょうか。インクで筆記体など書いた場合には、自分の手が当たってぐちゃぐちゃになってしまいそうです。

その他、ドアノブやはさみなど、世の中の様々なものが右利き用になっていることが多いので、そういったものが使いにくいといわれています。

が、左利きの友達などに効くと、「あんまり関係ないよ〜」という意見もあります。

どうするのが本人にとってよりストレスが少なくて済むのか?

どちらが利き手かをできるだけ早いうちに確認できると、本人が「矯正された」と感じずに済む可能性が高まります。

「もしかしたら、そうなのかな⁉︎」という段階の方へのおすすめは、まずは、スプーンやフォーク、お箸を使う様子をよく観察すること、食事のときも、遊ぶときも、向かい合わせではなく、隣に座ることです。

思い返すと、左利きっぽかった我が子は、はさみやのり、スプーンなど、両方の手を自在に使っている時期がありました。当時はさして深刻に捉えることもなく、親としても「使いやすい方を使えば良い」という考えでした。

ところが、2歳を過ぎてから運筆トレーニングで文字を書くようになり「左手だとインクが手に着くのが困る」と子ども自身が言い始め、たまたま義母が送ってくれたエジソン箸が右手用だったので「お箸は右手に」というふうに自然と、右手を意識するように…。

確かに右手で文字を書くことができるのは便利ですし、本人の考えを否定する気もないので、我が家ではこの流れに乗って右手を鍛えていくことにしました。

この時期や本人の気持ちを見逃さずにいたのが良かったのだと思います。

左利きの子は、左手を使うのが自然なことなので、「右手にしなさい!」などとプレッシャーをかけられては、相当なストレスを感じてしまうでしょう。

でも「右手も使えると便利なのよ〜」的にゆるりと教えてあげられたら本人の視野も広がります。

両手をスムーズに鍛えていく方向に無理なく進むことが、利き手の問題で親子関係を壊さないポイントと言えるでしょう。

右手を使う練習は楽しく!

そんなわけで2歳の頃の我が子は、ペンとお箸は右手、というふうに自分から選択をしました。

でも、それまで遊ぶときも比較的左手を自由に使っていたので、指の筋力など、徐々につけてあげる必要があると感じました。

そこで購入したのがこの2つ。

この洗濯バサミで、スポンジをつまんで、移動させるというだけのシンプルな遊びです。

運筆のトレーニングも良いのですが、鉛筆をきちんと持つためには、指の筋力が必要です。この木の洗濯バサミはやわらかいので、子どもでも物をつまむことができ、丁度良い筋トレにもなります。(木が乾燥しているとトゲが出ているかもしれないので、手渡す前にチェックしてください)

1歳のころはただつまむだけでも結構良い遊びだったのですが、2歳になったらアルファベットを覚えることを、3歳になったらシンプルな単語をスペルアウトするなど、発展させることもできます。

それから、3歳になりアルファベットやひらがなをすべて書くようになってきたら、紙と鉛筆の前にこんなものを使ってみるのもおすすめです。

アメリカで手に入るものとしては、Lakeshoreで売っている、Reusable Write & Wipe Pocketと、dry erase penが便利です!

私も子どももこのお店が大好きで、結構ちょくちょく覗いてしまいます(笑)phonicsの学習教材も、遊びながら取り組めるものがたくさん売っています。

うちの子は「何か新しいことをできるようになる」というのが最高に楽しい遊びだと思っているようなので、手先を動かしたり何かを作る、書く、切る、組み立てる…という感じの道具がいっぱい売っているこのお店が大好き。見ているだけで楽しい場所なんですよ〜。

こんな感じで、市販のワークブックの紙を中にいれて、ホワイトボードのペンで練習します。

お勉強したくないときには、ただの白い紙をいれてあげれば、お絵描きもできます😊ペンも色々なカラーで揃えてあげるとバッチリです🎵

これだと、筆圧が弱くてもスラスラ書けるので、3歳児の書字の練習にはぴったりです。書き順や文字の形をゲーム感覚で楽しめると思います。

鉛筆で紙に書くよりもずっとハードルが低いので、左利きの子でも右手で書くのが苦になりません。

繰り返し遊んでいるうちに、気づけば右手で絵や文字を書くのが得意になっていますよ!

 

日本だとこんな感じのものがあれば代用できるのではないかと思います。

自己肯定感を傷つけないで、本人がよりリラックスして取り組める方法を

5歳くらいになってしまうと、もう利き手は固定してしまっている可能性が高いでしょう。

そこから無理強いをして利き手の矯正をすると、お子さんの自尊心や自己肯定感、自己効力感に傷をつけてしまうかもしれません。

ですが、上記のような、半分遊びのような方法で、自然に右手を鍛える方法を取り入れてあげると、いつの間にか右手での書字が楽になっていたり、苦痛を感じずに両方の手を使っていけるように思います。

「左利きはダメ」「左利きは不便」と親が繰り返し言ってしまうと、左手を使うことが自然だった子は自分自身を否定されたような気持ちになるかもしれません。これは自己肯定感や自己効力感を低くしてしまう声かけです。

左利きを否定するのではなく「右手も使えると便利だよ!」「右手で書くとノートがきれいだよ、手に鉛筆がつかないよ」といった表現で、右手を使うメリットをさりげなく伝え、遊びを通じてトレーニングしてあげると、本人も楽しく練習できます。

利き手を矯正しても脳の優位半球は変わらないわけですから、親が右手を利き手にすることに固執しすぎる必要はないと思いますが、うちの子のように、ノートをきれいに書きたい、手にインクがつかないようにしたい、と本人が自然に右手で書字をするようになるのは、選択としてはアリだと思っています。